メルボルンから200キロほど北東に位置するビクトリアンアルプス。オーストラリアの最高峰を擁するこの山岳地帯で、近年、ひときわ輝きを放っているのがキングバレーです。渓谷を流れる美しいキングリバーとともにこの街の魅力となっているのが、この地に根を下ろしたイタリア系ワインメーカーたちが造るスパークリングワイン。そこで、故郷から約16,000キロも離れたオーストラリアの街、キングバレーに息づくイタリアの面影について、地元のエキスパートであるAirbnbのホストたちに話を聞きました。 初めてキングバレーを訪れた時、Carla Pizziniさんの両親は山々に囲まれた風景を見て、ふるさとにいるような心地よさを覚えたそうです。1960年代にイタリア北部のアルプスから移住したPizzini夫妻は、当初、タバコを栽培する土地を探していました。 

「山々に挟まれた、美しい谷でした」と、キングバレーのコテージ でAirbnbのホストをしているCarlaさんは語ります。「ここに来るなり、ママが『まるで故郷にもどってきたみたいね』と言ったんです。」 

それから月日が流れた今でも、車でこの谷に入ると、Carlaさんはいまだに秘密の場所を運良く見つけたような感覚になるそう。メルボルンから車で3時間ほどのキングバレーは、オーストラリア産プロセッコの本拠地であり、Pizzini家はここでワイン造りをしている家族経営のイタリア系ワインメーカーのひとつです。 

Pizzini家は1978年に、タバコの栽培からブドウへと移行しましたが、初期の共同タバコ農業と彼らがもたらしたイタリアの伝統がキングバレーを形作ったと言っても過言ではありません。
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「私たちは土地、労働力、農機具を地元の人々と分かち合いました。こうした文化こそが、ワイン産業を動かす原動力となっているのです。このような孤立した場所では、みんなで協力し合わなければ何もできない。だからこそ価値があるのです。」そう語るCarlaさんは、一家の経営するブドウ園「ピッツィーニワイン(Pizzini Wines)」のセラーでも働いています。

この地域のブドウ園の多くは結婚を通して繋がっています。さらに、小さい町ということもあり、誰もが顔見知り。そのため、Carlaさんがホストする「ジェシーズ・クリーク・コテージ」に泊まれば、イタリアの大家族のお家にお邪魔したも同然。Carlaさんのお姉さんはワインメーカーのダル・ゾット(Dal Zotto)家の一員で、いとこのArnieさんはクリスモント・ワインズ(Chrismont Wines)に勤め、弟のFredさんはピッツィーニを経営。Fredさんの奥さんのKatrinaさんはイタリア料理の教室を開いています。

「ここで生まれ育って一番良かったと思うのは、キングバレーに根ざした情熱です。もちろん、競争もありますが、根底では深い愛情でつながっています。それが、ここを訪れる人を暖かい気持ちにさせてくれるのではないでしょうか」
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プロセッコ・ロードを巡る旅

キング・バレーで1999年にプロセッコ種のブドウを最初に栽培し始めたのは、ダル・ゾットワインのOtto Dal Zottoさんでした。プロセッコ誕生の地であるイタリア北部のヴァルドッビアーデネに生まれたOttoさんは、日々の食卓にこのワインが欠かせない家庭で育ちます。

Ottoさんに続き、多くのブドウ園がプロセッコ種を作り始めると、この辺り一帯はいつしか「プロセッコ・ロード」と呼ばれるようになり、オーストラリアにおけるプロセッコの中心的生産地となりました。さらに、ネビオロ、ピノ・グリジョ、サンジョヴェーゼなど、他のイタリア系ワインも多く造られています。彼らの造るプロセッコ(スパークリングワイン)の多くは辛口。オーストラリア人の味覚に合うよう、甘さは控えめです。豊かな土壌と涼しい気候の中で造られる素晴らしいワインは、本家イタリアでも一目置かれるほど。近年、Ottoさんの故郷であるイタリア、ヴァルドッビアーデネでは、「プロセッコ」という名前の使用に規制をかけようという動きがあるとか。イタリアの特定の地域で栽培・醸造されたワインにのみ使用できるよう、働きかけているのです。

「イタリア人が心配するということは、私たちのワインの品質を認めてもらったようなものですが、心配には及びません」とCarlaさん。イタリア産のワインを脅かすのではなく、イタリア系ワインという共有遺産の保存と促進をしているのだと捉えているようです。

ワインの他にも、イタリアから来たいくつもの伝統文化が、地球の反対側にあるオーストラリアのこの渓谷に息づいています。ここに暮らす家族は、トマトがはちきれんばかりに熟す晩夏にトマトピューレを作り、冬には肉を塩漬けにし、お祝い事にはカンノーロを作ります。こうした伝統から生まれたのが、数多くの地元グルメフェスティバル。10月のサラミフェスティバルにピッツィーニワインでの毎年恒例のランチ、春のイタリア料理とワインフェスティバル「ラ・ドルチェ・ヴィータ」などは、そのほんの一例に過ぎません。

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キングバレーにぞっこん

「結婚式をあげる前は、キング・バレーについて聞いたこともありませんでした」と語るのは、AirbnbホストのLiana Shawさん。「夫の父が教えてくれたんです。」

Lianaさんと夫のTimさんは、キングバレーを見下ろす丘の上で結婚し、この地と恋に落ちました。後に、土地が売りに出されると、夫妻はすぐに購入し、ドリームハウスを建てたのです。

Shaw夫妻が現在ゲストを迎え入れるのは、眼下に美しい渓谷をのぞむ尾根にある100エーカーのブドウ畑、 マウント・ベルビュー 。ここを訪れる人のほとんどは、地元の料理やワインが目当て。セラーやゲストハウスの外にあるレストランで食事をしたり、イタリア料理のクラスに参加したり。

「この谷にまずい物はない。」Timさんはそう断言します。

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飲んで、食べて、楽しもう

カサ・ルナ・グルメ・アコモデーション のオーナーでホストのGwenda Cantyさんも、キングバレーの美味しい料理に魅了されたひとり。15年前に夫婦でここに引っ越したとき、食事の美味しさに感激したと言います。

Gwendaさんが初めてキングバレーを訪れたのは、メルボルンへの帰途、マウンテンビューホテル裏のレストランに、キノコのリゾットを目当てに立ち寄った時でした。当時、山あいの小さな街に洗練された料理があることに驚いたと言います。

「キングバレーを訪れる人は、誰もが秘密の谷を「発見」したように感じるんです。」  

イタリアを愛し、イタリア料理を作りたかったGwendaさんは、ビクトリアンアルプスの山あいに居場所を見つけました。カサ・ルナではゲストに無料で朝食が提供されますが、多くのゲストは地元のワインとのペアリングを楽しめる3皿のコース料理も合わせて頼むそう。「私はイタリア人ではないので、特定の地域に縛られることもありません。」 彼女が重視するのは、トリュフにヤギ、ラム、キングバレー産の美味しいクルミ、オリーブなど地元のオーストラリア産の食材の数々。

夜、帰宅の遅いゲストがいる場所は、目星がついています。「おそらく、ピッツィーニ家でFredとワインを飲みながら話し込んでいますよ」とGwendaさん。

Fredさんの両親がこの谷に根を下ろして60年。オーストラリアらしいこの場所に、伝統的なイタリアのおもてなしも着実に息づいているのです。

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Airbnbホスト直伝のキングバレーガイド

<飲む>

キング・バレーのワイン:プロセッコ・ロードのイタリア系品種ワイナリーを巡る。

<食べる>

マウンテンビューホテル料理は一般的なパブをはるかにしのぐクオリティですが、木陰にあるマウンテンビューのビアガーデンはついつい長居したくなる心地よさ。パスタも絶品です。

ダル・ゾットブドウ園の中にあるトラットリアでは、絶品イタリア料理が楽しめます。Elenaおばあちゃんが自ら栽培、収穫した食材がふんだんに使われたお料理をどうぞ。

カサ・ルナGwendaさんが作る夕食は、ビクトリア州北東部の食材とイタリアの伝統を堪能でき、地元産ワインにもぴったり。川のそばでピクニックをしたければ、お弁当も用意してくれます。

クリスモント・レストラン・アンド・ラーダー :キングバレーで最も洗練されたレストラン。クリスモントは、地元の人にとって特別な日に訪れるレストランです。

ポリティーニのカンノーロ シチリア料理のクラスに参加して、Josieおばあちゃんから絶品カンノーロの作り方を教えてもらいましょう。地元で大人気のカンノーロです。

<アクティビティ>

イタリアンフェスティバル:11月のラ・ドルチェ・ヴィータ・フェスティバルから、イースターのお祝いや毎年恒例のランチまで、イタリア料理の伝統を祝うフェスティバルが年間を通して開催されています。

タボラ・クッキング・クラス ピッツィーニワインで行われる料理クラスで、一からパスタ作り(その他にも色々!)を学びましょう。

アウトドア:キングリバー沿いのピクニック、ウィリアム・ホベル湖で地元の人と一緒に泳いだり、カヤックやトラウト釣りを楽しんだり。ダル・ゾット・ワイナリーで電動自転車を借りてブドウ園を探検したり、山でハイキングするのも楽しいですよ。

<滞在する>

キング・バレー地域のAirbnb宿泊先をご覧ください。

文章 Rachel Bartholomeusz

写真 Marnie Hawson

ここに掲載されている宿泊先と体験はすべて、あくまで参考イメージの提供のみを目的とするものです。Airbnbは、プラットフォーム上の特定の宿泊リスティング、その他の宿泊先、体験を支持・推薦するものではありません。